真夏のキャンプ場。設営を終えて待ちに待ったビールを手に取ったとき、それがぬるかったら……。
これほどテンションが下がる瞬間はありません。逆に言えば、キンキンに冷えたドリンクと鮮度抜群の食材さえあれば、夏のキャンプは9割成功したと言っても過言ではないでしょう。
スーパーで買った発泡スチロールや、ホームセンターの安価なクーラーボックスでは太刀打ちできない猛暑。そこで選択肢に入ってくるのが、圧倒的な保冷力を誇るハイエンド・ハードクーラーです。
今回は、プロ仕様のスペックを持つウルトラクールBOXを例に、なぜそこまで冷えるのか、その実力を検証します。
夏キャンプの死活問題氷が溶けるを防ぐ・断熱材の厚みが違う
なぜ、一般的なクーラーボックスだと翌朝には氷が水になってしまうのでしょうか。
最大の要因は断熱材の種類と厚みにあります。
安価なクーラーボックスの多くは、断熱材に発泡スチロールを使用しています。軽くて安いですが、断熱性能はそれなり。
対して、ウルトラクールBOXのようなハイエンドモデルが採用しているのは硬質発泡ポリウレタンです。住宅の断熱材にも使われるこの素材を、なんと3cm〜5cmもの厚みで充填しています。
壁を叩いてみれば分かりますが、中身が詰まったコツコツという硬い音がします。この分厚い断熱壁が外気熱を完全にシャットアウトし、冷気を内部に閉じ込めるのです。重いというのは欠点ではなく、断熱材がギッシリ詰まっている証拠。重さは信頼の証と割り切れるだけの性能がそこにはあります。
ウルトラクールBOXのスペックと特徴・業務用メーカー開発の気密性

ウルトラクールBOXの凄みは、単なる壁の厚さだけではありません。そのルーツは、漁業や医療輸送などで使われる業務用保冷庫の技術にあります。
特筆すべきは、冷蔵庫並みの気密性です。
蓋の裏側に配置された極太のゴムパッキンと、テコの原理を利用した強力なラッチ(留め具)により、蓋を閉めると内部が完全密封されます。これにより、冷気の漏れを防ぐだけでなく、外からの暖かい空気が侵入する隙間すら与えません。
万が一、中で氷が溶けて水になっても、逆さにしても水漏れしないほどの密閉度。
このオーバースペックとも言える頑丈な作り(ロトモールド製法など)は、大人が椅子代わりに座ってもビクともせず、ラフなキャンプ環境において絶対的な安心感をもたらしてくれます。
保冷力を最大化する使い方のコツ・予冷してますか?
しかし、どんなに最強のスペックを持つクーラーボックスでも、使い方を間違えればその性能は半減してしまいます。
研究熱心な方にぜひ実践していただきたいのが、予冷(よれい)というテクニックです。
クーラーボックス自体は、使う前は常温(あるいは車内で熱くなっている状態)です。そこにいきなり氷と食材を入れても、氷のエネルギーは箱自体を冷やすことに使われてしまい、あっという間に溶けてしまいます。
出発の前夜、あるいは数時間前に、保冷剤や氷を少し入れておき、ボックス内部の壁をキンキンに冷やしておいてください。これだけで、本番の氷の持ちが劇的に変わります。
また、隙間を埋めることも重要です。
内部に空気が多いと、その空気が温まりやすくなります。食材を入れた後、隙間があればタオルや断熱シートを詰めて、空気の層を減らしましょう。開閉回数を減らす工夫(飲み物用と食材用を分けるなど)も合わせれば、2泊3日のキャンプでも帰宅時まで氷が残っているという奇跡を体験できるはずです。
最強の保冷庫を手に入れたら、次は重さとの戦いについて考える番です。
快適さを求めてギアを増やしすぎると、今度は腰への負担や積載の限界が訪れます。次回は、そんなジレンマを解消するソロキャンプ装備の軽量化について、具体的な数字と共に解説します。

